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書評掲載書籍

書評一覧2013年4月から以下のホームページに移行します。
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新版 食料・農産物流通論
藤島廣二・安部新一・宮部和幸・岩崎邦彦著
農林水産食品がどのようなルールで生産社から消費者に届くのか、農産物生産・流通j関係初心者は関心が高いことだ。本書は、そういった内容を非常に分かりやすくまとめた。米や青果物、肉類に花き、茶だけでなく、漬物、ビールも網羅し、原産地表示問題なども紹介する。各品目別では現状、価格形成に加え、将来も展望した。
例えば米。「食管法」「旧食糧法」「改正食糧法」の各時代の生産・流通システムに加え、価格形成の仕組みを紹介する。価格では、旧食糧法時代に1995年には77まで落ちkムが、その要因は、過剰供給・スーパーの伸長・業務油雄の需要拡大と分析し「今後は、不作などによる一時的な価格高騰があっても、傾向的には低下するか、横ばいになる可能性が高い」と指摘する。

TPPと日本の選択 「投資立国」化と「歴史的円高」の中で考える
三島徳三著
分かりやすさに主眼を置いたTPP問題の解説書だ。北海道大学名誉教授である三島徳三氏が、これまでの講演内容などを基に執筆した。
テーマや課題ごとに細かく項目を立てて、現状や課題分析、問題点にも言及する。TPP問題に”入門書”であるとともに、課題ごとの論点を整理する上での”参考書”としても活用できる。
農業をはじめとした国内産業への壊滅的な打撃や、国民生活への悪影響を指摘、警鐘を鳴らす。さらには、牛肉、自動車、保険と言った事前協議での米国の狙い、TPP参加を政府に迫る財界の戦略、投資家・国家訴訟(ISD)条項をはじめとしたTPPの問題点の本質に鋭く切り込み、日本が選択すべき道を説く。
直面する日本の危機に対して、最後に「米国と無国籍な企業に横暴から、国内産業と国民生活を守る」という健全なナショナリズム(国民主義)を基礎とした、TPPに反対する国民的な運動構築の必要性を提起。TPPに反対する著者の熱い思いが伝わる。
日本農業新聞書評(2012年9月23日) 
経済12月号

我が国における食料自給率向上への提言 PART2

板垣啓四郎編著
食料自給率をあげるために何が必要か。農政の中心課題であり続けるこの問い掛けに、東京農業大学食料情報学部の板垣啓四郎教授ら農学の専門家17人が考察をまとめた。
昨年同じタイトルで出版された第2弾。課題の切り口は、話題を集めている6次産業化や環境、農産物マーケティング、農産物貿易、有機農業など多岐にわたる。読み進むうちに、自給率の向上という一つの課題解決に向け、密接な関連がうかがい知れる巧みな構成になっている。
地域産業関連表の生産額データの詳細な観察から6次産業化のための具体的な課題や、中国産冷凍野菜の「買い負け」の実態から海外の安定な食料確保の難しさを掘り起こす。夢物語は一つもない。どの考察にも自給率向上に貢献しようとする専門家の誠実な研究姿勢が表れている。
日本農業新聞書評(2012年4月22日)

地域再生と農協 変革期における農協共販売の再編
岸上光克著
農産物流通は多様化し、実需者のニーズも多岐にわたっている。その経済状況の中、本書は、農協共同販売(共販)の今後の在り方を提起する。大規模産地をリポートし、共販の再編動向を研究、今後の求められる一手を浮かび上がらせた。
強調するのは、農家と農協の意思疎通の大切さだ。つまり、農家の意見・意向を聞きながら、共販は姿を変えていくべきだと主張する。奈良県五條市西吉野町の柿産地では、農家の意見を生かし、出荷規格の簡素化や規格外品の集出荷の促進を実行。また愛知県東三河地域の豊橋農協ハクサイ・キャベツ部会では、高品質な出荷品の全量集荷を目的に部会組織に会員制度を導入した。多様化する管内の農家全員が、参加可能な共販組織の再構築を求めている。共販制度の新たな道筋を描いている。
日本農業新聞書評(2012年6月3日)

社会的起業をめざす農村女性たち 地域の担い手としての農村女性起業
澤野久美著 
地域資源を生かした起業活動に能力を発揮する農村女性たち。農村女性による起業は全国で1万件あり、総売上高が600億円を超すという試算もある。多くの地域でなくてはならない存在に成長した。それぞれが個性的で、成立や展開、地域との関係などにつてい、さまざまなタイプの活動実態を分析している。
著者は、学生時代から取り組んできた全国各地での現地調査の中で、農産加工だけでなく、福祉も手掛けている女性たちに感動する。農村女性が自分自身の経営だけでなく、地域の課題や貢献を考えらがら起業活動していることに着目する。
従来は行政が中心的に担ってきた「公共」の分野で非営利機関が役割を果たすことが、欧米では増えているという。地域の担い手として期待される存在を、あらためて確認する。
日本農業新聞書評(2012年4月15日)


切り花の品質保持
市村一雄 著
切り花品質保持の最新事情を収めた2000年発行の「切り花の鮮度保持」の全面改訂版。切り花の収穫後の生理機構、保存剤、保管と輸送など構成は前書を踏ま襲するが、新たに「切り花生産の条件と品質保持」の項を追加した。また最終章では、国内で生産されている主要な切り花23品目について、生理的特性、栽培・収穫時の注意点から消費者段階での取り扱いまで、それぞれ9段階での品質保持を解説する。生産から販売に至るまで、品質保持技術の理論や技術を深められる必携の書。
花卉園芸新聞新聞書評(2011年9月1日)   農耕と園藝(2011年9月号)  フローリスト(2011年10月号) 



酪農乳業の危機と日本農業の進路
小林信一編著
酪農の抱える経営危機の現状や地域格差の現状、さらに今後の経営を安定させる方策を展開する。専門家9人が執筆した。
 小林信一氏(日本大学教授)は、経営を安定されるため、原稿制度を補完する所得補償制度の導入を提言する。さらなる議論が必要と前置きするが、中身は「所得補償制度」を想定。参加は任意の掛け金方式という。背景には、飼料価格の高騰や牛乳の消費減退などがあり、提言は危機打開の方法を示すことにある。
 この他、北海道、愛知県、四国などの酪農の現状、米国での不足払いの動向、ニュージーランドの組織再編など展開する。
 酪農の現状は、経産牛の頭数が2008年に100万頭を下回り、指定生乳生産社団体の受託乳量も09年度に750万トンまで縮小した。
日本農業新聞書評(2011年8月8日)


韓国のFTA戦略と日本農業への示唆
柳京熙・吉田成雄編著
環太平洋経済連携協定(TPP)議論をきっかけに、貿易自由化へ向けた韓国の通商戦略を賛美する論調がある。だが、著者は「このまま進めが、5〜10年の間に韓国農業は壊滅的な打撃を受ける」と各種データをもとに論証して実像に迫る。日本にとって、対岸の火事≠ナは済まされないのだ。韓国農業は、1993年のウルグアイ・ラウンド農業交渉が妥結して以降、市場開放が本格化した。このため、米を除いてほとんどが輸入自由化の影響を受けた。また、2010年12月には米国とFTA(自由貿易協定)を結んだ。
1990年代以降「新自由主義」に沿って農業改革を進め、稲作の「専業農」育成のように一定の農家層への支援を集中させた。著者は農業を犠牲にして、経済発展を優先した明確な政治判断があったとみる。2008年に登場した現在の李明博(いみょんぱく)政権は、「農業先進化」と目指してオランダ、ニュ―ジーランドを韓国農業のモデルに挙げる。だが、韓国農業は、すでに自由化の影響で生産は縮小しているのが現実だ。わが国でのTPPへの参加検討に参考になる。
日本農業新聞書評(2011年6月20日)

反TPPの農業再建論
田代洋一著
TPPへの参加検討を進める農政を「政局農政」と規定して、農業再建の枠組みを考える。
テーマは@日本農業は過保護かA政権交代と政局B直接支払い政策の本質CTPPと国民生活・経済・農業D民主党・行政刷新新会議と農協E「攻めの農業」論欺瞞(ぎまん)F農業再建の政策課題。これまでに『経済』『農業と経済』『世界』『農業協同新聞』に掲載したものを元稿にした。一部書き下ろしもある。
日本農業新聞書評(2011年6月6日)

食と農とスローフード
田中修著
食料、農業、環境問題のテキスト。日本の将来をスローフード、スローライフの視点から展望して、「産業中心社会」から「人間中心社会」への転換を求める。著者は、群馬県民局長などを経て2007年3月に退職。現在、県スローフード協会理事長。
前半部は、食料と農業の現状を幅広い角度から説明し、後半部には環境問題やスローフードなどを説明する。
取り組み事例では、群馬県川場村での都市との交流を紹介する。東京都内の小学生の林間学校を中心にすでに28年が経過して150万人が交流に参加した。
新潟県越後妻有地域(十日町市、津南町)の「大地の芸術祭」は、3年に一度の国際芸術祭。世界の著者など芸術家300人の作品を展示し、地域住民を巻き込み「自信と活気」を生んでいることを紹介する。
日本農業新聞書評(2011年5月9日)

我が国における食料自給率向上への提言
板垣啓四郎編著
食料自給率の向上のため資源、環境、技術、経営、フードシステムなどを多角的な視点から論じる。東京農業大学総合研究所のプロジェクト研究の一部を公刊。11人が執筆する。
交付金の助成では「生産費の縮減に努力する販売農家や集落を対象にする」と提言。当面は高品質生産に力点を置き、農地の利用集積などを進めてコスト削減を図るべきとする。
アジア経済連携協定(TPP)への参加では「相手国との農業競争条件の差を十分に埋められるような恒常的な政策措置を確立できなければ参加は難しい」と指摘する。
日本農業新聞書評(2011年4月18日)

政権交代と水田農業
磯田宏・品川優著
 米・水田農業政策についての政策展開と実態を調べた。T部は「政策論理からの検証」として米政策などを批判的に総括(磯田)。U部は「農村現場からの検証」として、北部九州を対象にして担い手の展開などを考察する(品川)。
この他、保論として環太平洋経済連携協定(TPP)の問題点を述べる。
 TPPでは、日本の外需依存型構造がほとんど是正されない。また、内需主導型への転換が“棚上げ”されたままでは、国益になるかどうかは大きな疑問であると主張する。
「いざなぎ超え好景気」(2002年2月〜2007年10月)で、自動車・電気電子機器メーカーなどの日本型多国籍企業は、史上最高水準の内部留保を蓄積した。
だが、労働分配率と賃金は低下し、正規雇用は非正規に代替されて福祉も後退したことをデータで示す。
日本農業新聞書評(2011年3月28日)

学校給食における地産地消と食育効果
各地の小・中学校給食で地場産物を使い始めている。地産地消の動向、食育の取り組み、教育効果などをまとめた学術書。

日本農業新聞(2010年4月26日) その他の書評しんぶん赤旗 本と話題((2010年5月23日)

政権交代と農業政策 民主党農政
民主党政権下での農政の内容について戸別所得補償制度、水田利活用自給力向上事業、農地制度を中心に説明する。手軽に読めるブックレット形式(86頁)で、政権交代に伴って「民主党農政が分からない」と言う人には便利な一冊。
 農家の最大関心事の戸別所得補償制度につてい、@これまでの民主党・直接支払い政策の追求Aアンチ自民党農政B農村疲弊への対処策C政権安定へ向けた選挙対策―が交錯しているとし、自民党農政が突破できなかった課題に応える政策として高く評価する。一方、国内生産の維持・拡大と世界貿易機関(WTO)での貿易自由化と両立するとの考え方―には否定的な立場を鮮明にする。
 民主党農政が緒についたばかりだが、著者は今後、地域と協同していかないと、再び官僚農政に飲み込まれると予測した。
日本農業新聞(2010年4月26日)

世界畜産立地変動論
鶏卵生産は2000年以降、発展途上国が世界の6割以上を生産して「南北逆転」が起きた。生産性や資本力の優れた欧米での生産が拡大すると思われていたが、実際は逆だった。
 こうした潮流は、鶏卵だけにとどまらない。食肉では2020年を境に、途上国が7割を占めると予測し、とりわけ中国、アジアの消費が増える。「南北逆転」がここでも生まれ、世界の畜産立地から見れば、まさに「畜産革命」でいいものだ。
 「畜産革命」は1人あたりの所得増などによる需要増加に引っ張られたもので、生産が追いつかないこともある。このため外国依存の革命になることが懸念される。
  各種統計を利用して大胆に将来の畜産立地を予測する学術書。鶏卵では、欧州連合(EU)での動物福祉問題も取り上げる。

日本農業新聞(2010年4月26日)

韓国園芸産業の発展過程
韓国では花きなどの園芸産業が成長を続け、日本向け輸出も増えている。日韓経済連携協定(EPA)が実行されれば「両国の園芸農産物の簿貿易がさらに拡大する可能性がある」と指摘する。柳氏はJA総合研究所主任研究員、姜氏は南九州だ学准教授。成長の背景には、韓国政府がウルグアイランド(UR)合意を契機とした貿易自由化に対抗するため、園芸産業を中心に分厚い支援策を打ち出したことがある。特に「守り農政から攻め農政」への転換策の1つとして、花き栽培の施設建設などに力を入れた。現在、農産物全体の生産総額は減少するが、日本向けの輸出増加などで園芸産業は着実に伸び続けている。ただ、技術的な課題や、国内需要の伸び悩みなどがある。著者は、韓国の実態を詳しく分析したうえで、今後の日韓双方の方向として、譲歩要求や反対を続けるのではなく「輸出入量の調整や知識共有を図る必要がある」と提言する。
日本農業新聞(2010年1月11日)

地球環境問題概説
著者は、地球環境を8000前から掘り起こしている。現在86歳。専門の農業経済とは違った分野を新たに執筆した理由は何ですか?昔と同じことを書いても面白くない。森林は炭素の貯蔵庫。それを破壊して8000年前に農地が誕生した。森林を壊すこと自体、機構変動のおおきんあげ委員になる。農業は発達し食料は豊になった。だが、この裏側で環境破壊があったことを見逃すことはできない。(略)
日本農業新聞(2009年12月28日

混迷する農政 協同する地域
著者は、2001年以来、隔年でその時々の農政に言及してきた。本書はその第5集で、今回はリーマンショックに端を発する金融・経済危機、それを背景に、にわかに矛盾を露呈した新自由主義と農業を中心テーマに添えた。
解決の根本は「内需依存経済への転換」と指摘。「その一環に農業が位置づけられる必要がある」と断じる。ジャーナリスティックな筆致はWTO農業交渉、米価と生産調整、農地制度改革の分析を経て、政権交代下の農政課題まで読者を飽きさせずに連れていく。
書名の「協同する地域」はひとつの処方箋だが、現実のJA、生協はそ耐えうる存在なのか。集落営農など地域の取り組みをふまえた諸提案は示唆に富む。
全国農業新聞 内需依存への転換指摘(2009年11月20日) 日本農業新聞(2009年11月16日)


食料・農業の崩壊と再生
北出俊昭著
現在、日本があらゆる面で危機的状況にあることは言うまでもない。1990年代に対する「失われた10年」という見方に加えて、「失われた20年」という評価が現われただけでなく、向後の「失われる10年」という悲観論すら登場しているからだ。
こうした中で、日本の食と農は「崩壊」=死に至りつつあると認識する著者が病状の正確な診断を試み、治療の基本方向を示し、患者の基本的な条件に応じた具体的な処方箋を提案している。200ページ弱とコンパクトだが、日本の食と農に対する著者の限りない愛情を、食と農の「再生」に向けた明晰かつ分かりやすい論理でくrんだ問題提起の書である。(略)
日本農業新聞(2009年7月13日)


暮らしのなかの食と農40
現代の『論争書』で読み解く食と農のキーワード
村田武著
食料自給率など10テーマを文献も紹介しながら考えます。「消費者主権」がもてはやされているのと裏腹に「企業と企業経営者が現代経済社会を統治している」と警告したガルブレイス著『悪意なき欺瞞−誰も語らなっかた経済の真相』、米国の低農物価格政策で多国籍企業が利益を得る一方、伝統的「家族農場」が打撃を受けたと告発するテネシー大『アメリカ農業政策の参考』など。
しんぶん赤旗(2009年7月5日)

協同組合としての農協
田代洋一編
これまでの伝統的な農協論を踏まえて、10人の執筆者が現状を分析した。組織論、信用・共済、営農指導などの項目を立てての展開は一般的だ。ただ、営農指導では北海道の事例として、農協が直接に生産に介入・支援するシステムが現われていること、地方銀行・信用金庫の農業参入が推進されていることが報告されている。新たな動きとして注目される。
最終章で田代洋一大妻女子大学教授は、これまでの農協論、農協改革の経過などを踏まえて、「農地地域協同組合論」の方向を展開する。
准組合員増加への対応や、農に関心も持つ住民の増加を背景にしたもので、地産地消、食育は地域の共通テーマで、直売所、ガソリンスタンドは人気あるとして。JAの存在意義を示す。
日本農業新聞(2009年5月25日) その他の書評掲載 農業協同組合新聞(2009年6月17日)

現代の農業問題B 土地の所有と利用
農業問題研究学会編
農業と経済(2009年6月)

現代の農業問題A 労働市場と農業
農業問題研究学会編
農業と経済(2009年5月号)

現代の農業問題@ グローバル資本主義と農業
農業問題研究学会編
農業と経済(2009年4月号)

北海道北部の地域社会
神沼公三郎・奥田仁・佐藤信・前田憲編著
札幌市と他地域との人口格差の拡大が指摘される中、旭川市を含めた道北地域との格差も広がっている。本書は塩狩峠以北の道北地区の格差・過疎化が厳しいという観点で、地域社会の分析と今後のあり方について提言した。国道40号線・音威子府バイパスの建築問題に伴い、1997(平成9)年に結成された「道北の地域振興を考える研究会」が、これまで研究してきた成果と、講演活動をまとめたもの。第1章は北海道開発の歴史と道北地域、第2章は過疎問題とその局面、、第3章は道北地域における森林環境の現状と利用動向、第4章は道北地域の農魚業〜その現状と可能性、第5章は道北地域の展望と課題、おわりに〜総括と提言などから構成される。
全国農業新聞北海道版 (2008年6月6)  その他書評掲載 日本農業新聞 新刊案内(2008年6月23日)

食料・農産物の流通と市場U
日本農業市場学会編
 食料・農産物の流通と市場の仕組みをそれぞれ専門家が分かりやすく解説する。2003年4月に出版された『食料・農産物の流通と市場』の内容を刷新し、発行した。
 食品流通は、価格、流通構造、安心・安全と範囲も広く、国民の関心も高い。本書は前書と多くの点でテーマは共通しているが、物流管理や輸出入の仕組み、食品の環境・資源問題、牛乳・乳製品などを新たに加え、充実させた。農業・漁業に携わる人はもちろん、広い視野で流通を学ぶ人たちにとって、とても参考になる。

日本農業新聞(2008年6月16日)

農業・協同・公共性
田代洋一著
 本書は私の40余年にわたる研究生活のなかから。農業とっ協同という二つのテーマに係るものをまとめたものです。
 前編は「兼業農業の時代」として題して1980年代なかばまでを取り上げ、兼業農家問題、兼業農家市場にも恵まれない九州遠隔地における畜産的土地利用の展開、そして高知を事例とする中山間地域農業問題等を分析しました。いずれも数多くの実態調査をふまえてろりまとめたものです。
 生協については、ヨーロッパでは組合員が生協の事業や運営に主体的に参加することを 避する傾向もあり、そこでの困難を取り上げました。また、日本と同じ事業連合化の動きも追求し、戦略意思の統一の見事さを確認しました。後編は、グローバリーゼーション時代のヨーロッパにフィールドを移して、まずイギリスやドイツでの都市公有地の農的活用として「シティ・ファーム」(日本の教育農場の先駆のようなもの)、イギリス、スウェーデン、イタリア等における生協の動向をとりあげました。
 問題は、前編と後編の話がうまく繋がるかですが、その試みとして「共同体・協同・公共性」うぃお新たに書き下ろし序章としました。そのキーワードは公共性です。やや聞きなれない言葉ですが、要するに「地域のみんなに開かれた、誰でも参加できる討議を通じて共通する課題に取り組んでいこう、そのための公共空間、市民社会を作っていこう」という概念です。
 今日、農業や地域の崩壊、協同的な取り組みの困難が強まっているなかで、メンバーシップのみにとらわれず地域のみんなで課題に取り組んでいこうという戦略を農業と協同に共通する課題として考えてみました。
月刊 NOSAI (自著自薦) 2008年6月号 その他の書評掲載 農業と経済(2008年10月号)

地域発・日本農業の再構築

村田武編
愛媛県のかんきつを主体とした農業・農村事例を紹介しながら、世界貿易機関(WTO)体制下の地域のあり方をてんぼうする。
農業共済新聞新刊紹介(2008年5月2週号)  その他の書評掲載 日本農業新聞愛媛版(2008年4月3日)

地域と響き合う農学教育の新展開
中島紀一編
「象牙の塔」といわれた大学。公開講座や視聴生制度などで「開かれた大学」となったが、今はいかに地域貢献や社会貢献が出来るか求められている。
 本書は農学系の秋田県立大学短期大学部、岐阜大学、筑波大学、茨城大学の4大学が地域連携分野の「現代的教育ニーズ取り組み支援プログラム」(現代GP)で行った農村活性化の実践、自然共生型地域づくりなどの成果や課題などをまとめた。
 地域農業支援の姿勢が弱くなっている農学系大学に今求められている、新しい農学教育の在り方を示すヒントが詰まっている。
日本農業新聞新刊案内(2008年3月20日)

この国のかたちと農業
田代洋一著
 著者は、「ふと思いついて」この本をまとめたと書いているが(あとがき)内容は決して「ふと思いついた」というような軽いものではない。
 財界御用達の一部学者や元高級官僚の日本の食料主権を売り渡すような発現を糾弾し、自給率計算の分母を小さくする=数字上の自給率を上げる、格差社会の食の二極化に警鐘を鳴らす。また、なにがなんでも株式会社に農地を持たせろという財界の「提言」や、それに摺り寄る農政に異を唱える。そして耕作者主義と転用規制をはずして「株式会社地主制」への道を拓くのが、「平成の農地改革」の本質だと喝破する。
 本来、多様な「地域農業の担い手」であるはずの担い手を認定農業者らに限定し、そのほかの多くの地域農業の担い手を「非担い手」と公称するなど、もってのほかだいう著者の憤りには同感できる。また、農業攻撃の主要なターゲットにされてきた農協が地域農業支援システムの核として地域に開かれた農協であるべきだとする著者の提言は、多くの現場を回って蓄積された事例を土台にしているだけに、説得力がある。
 もとは「生きもの」と称される時論集だが、大幅な加筆・訂正によって全体の整合性は保たれているし、著者の「この国のかたちと農業」に対する重いが明確に示されている。内容の濃い本書をこの短文では紹介しきれない。ぜひ手にとって一読して頂きたい。
日本農業新聞書評欄「財界迎合の"改革≠糾弾」(2007年12月24日) その他の書評掲載 『経済』1月号新刊案内 『農業と経済』7月号

バイオエタノールと世界の食料需給
小泉達治著
 トウモロコシやサトウキビなどのバイオマス資源から製造される燃料用エネルギー、バイオエタノール。CO2(二酸化炭素)排出量を制御し、地球温暖化防止に役立つと言われ、近年価格の高騰が著しい原油の代替エネルギーとなり得るとの見方から、各国が熱い視線を注いでいる。本書では、農林水産省の研究官が今後のバイオエタノール需給のカギを握るブラジルや中国、米国、日本などの政策を読み解いていく。
 ブラジルは、従来の砂糖供給量を維持しつつ、サトウキビ作付け面積を大幅に増加する計画だという。また、米国や中国が進めているトウモロコシのバイオマス資源化政策は、国際トウモロコシの需要バランスにマイナス影響を及ぼす可能性があると指摘する。
日経ビジネス(2007年11月12日号) その他の書評掲載 日本農業新聞 新刊案内(2007年10月)

食料環境経済学を学ぶ
東京農業大学食料環境経済学科編
 食料と環境に対する人々の関心は、ここ数十年の間に大きな高まりをみせている。しかし、経済のグローバル化が進む中で、食料と環境をめぐる問題がより深刻化していく兆しも現れている。
 本書は「食料経済を学ぶ」「環境経済を学ぶ」「農村経済を学ぶ」「国際農業経済を学ぶ」の4部構成。食料と環境の問題に関心を持っているが、それらにどう取り組めばいいかを模索している大学の新入生らに、何らかの手がかりを与える入門書である。
日本農業新聞 新刊案内(2007年9月)

毀された「日本の食」を取り戻す
滝澤昭義著
 肥満、食事バランス、自給率、のっけからクイズが10問。読み進めると、連続講座を受けている気分になる。
“先生”の口調は柔らかだが、内容はかなり重い。
 偽装食品に「だまされた」と怒る一方で、マスコミの健康特集には、疑問も抱かずに翻弄(ほんろう)される消費者。講座の前半では、私たちの食べ方を浮き彫りにし、「食」を問いただす。
後半では、戦後の食料不足から現在の飽食まで。輸入食品のはんらんと国内農業の衰退、日本型食生活のアメリカ化をもたらした60年余の変遷をたどる。
 私も、小学校の給食ではパンと脱脂粉乳、中学生の時にはマクドナルドは銀座の立派な「お土産」だった。筆者が「崩食」と呼ぶ経過の真ん中で食のアメリカ化を支えて来た世代にとっては、何とも複雑な実体験がよみがえる。
食べるということ、日本の農業が置かれてきた状況について、知らなかったことや思い込んでいたことがいかに多いことかを再認識させられる。金もうけの商品となたことへの筆者の悔しさが全編を貫いている。アメリカ化の食生活しか知らない世代にぜひ読んでほしい。
 食生活が時代とともに変化する中で、未来の展望はあるのか。普遍的な食の質には、「どこで、誰と、どのように」食べるのかも含まれるのではないか。中食や外食が大多数を占める勢いの今、みんなが誇れる食、取り戻すべき食の姿とは何かを深く考えさせられた1冊である。
日本農業新聞書評欄「アメリカ化の先に展望は」(2007年7月2日) その他書評掲載 農業共済新聞(2007年8月8日) 赤旗(2007年6月17日)

アジア農村発展の課題
久保田義喜編著
 副題は「台頭する四カ国一地域」。韓国、台湾、タイ、中国、インドが、今後どのように発展するかを地球的規模の中で展望する好書である。
 各国地域は、いずれも@アジアモンスーン地域A水田稲作への偏重B零細農耕であるC工業化・近代化が遅れているD多様な宗教と多様な文化的価値があるE変革主体としての農村の住民自治の脆弱(ぜいじゃく)である―などの条件・課題を抱える。これらを分析して、農村発展・開発を担うべき主体(人、組織)をそれぞれ抽出し検討する。
 第1章・韓国では米偏重の意味とそれを踏まえたウルグアイ・ラウンド以後の農政転換を見据え、主体を農協に想定する。第2章・中国では「三農問題」(農民の貧困など)の発生と今後の動向を、主体である農民委員会にスポットを当て検討する。第3章・台湾では農業成長ゼロ時代以降の園芸・畜産の多様な変化を調べ、主体には共同出荷組織とする。第4章・タイでは農村開発の主体として非政府組織(NGO)を取り上げ、その重層的な関係(グローバル、ナショナル、ローカルの三層)と財政的基盤、組織的な問題を検討する。第5章・インドでは、主体を農村協同組合加工場に見いだし、その存在形態と意義を検討する。
分析は精緻(せいち)でうなずく部分も多い。世界経済の動きによっては、5カ国・地域の枠組みが変わることも予想されるが、今後の研究課題は、対象とした国・地域の総合関連性を解明することであろう。
日本農業新聞書評欄「開発の"担い手≠検証」(2007年6月4日)

有機農業・みんなの疑問
舘野廣幸著
 有機農業とは何か?という疑問の答えを探して1999年から「みんなの有機農業講座}を開く著者。「農薬が体に入る経路として最も危険なのは呼吸器と皮膚です。草が生えれば生えるほど、土は豊かになります。その草を捨ててしまうから、やせるのです。無農薬の農業は被害者になっても、加害者にならないということです」
 多くの人が尋ねる疑問について、答えは田んぼや畑で草や虫の意見を聞きながら思いついたと、丁寧に伝える。
日本農業新聞 新刊案内(2007年2月19日) その他書評 日本農業新聞 新刊図書欄(2007年3月20日) 農業共済新聞 新刊紹介(2007年3月14日)

農業技術の導入行動と経営発展
 7章で構成し、1章では生産者が技術導入の決定要因と阻害要因についてまとめた。
 2〜5章は実際の技術導入事例、6章は技術導入後の経営成果を紹介。7章は後継者が技術力をつける動機付けなどを解説している。著者は愛媛県農業試験所経営流通室の山本和博主任研究員。
日本農業新聞 新刊案内(2007年1月25日)

熱帯農業と国際協力
高橋久光・夏秋啓子・牛久保明邦編著
 熱帯地域の途上国が抱える農業問題を紹介し、自然科学、社会科学の両面から国際協力の現状や今後のあり方を解説する。
農業共済新聞 新刊紹介(2006年12月2週号)

集落営農と農業生産法人
田代洋一著
 各地で「集落営農」づくりに懸命である。これからの地域農業の「担い手」づくりなのだが、農家は警戒の目を向けている。「農地は取られないか」と。
 政府が唱えれば唱えれるほど農家の腰が引けるのは、これまでの猫の目農政に対するのは、深い不信によるものだからしょうがないとしても、かといって高齢化と担い手不足が深刻な農業・農家が、このままで持つはずがない。
 「集落営農」に諸裏をかけることは、確かに間違った道ではないだろう。こうした期待は、高齢化が進んだ地域なら、かなり前からあった。著者も、「グローバリゼーション時代の定住条件の危機に瀕(ひん)したむらの生産組織―それが集落営農といいたい」と、期待を寄せる。
 ところが、どうも様子が違ってきた。いわゆる品目横断的な経営安定対策を意識したとき、集落営農は一個の経営体を志向し始めた。最終的には法人化を目指す。そして、本来、多様であるべき集落営農は、経営対という一つの型に押し込まれる。
 このままでは、「地域に根ざした農業者の共同体」としての集落営農から遠のいてしまうというのが、筆者の危機感であり、執筆のエネルギーなのだろう。「画一的おしつけ」をいぶかる多くの農家に共感を呼ぶに違いない。
 本書の大半は、1年ほどかけて訪ね歩いた各地の事例で、読み進むにしたがって、集落営農組織の経営が産地づくり交付金などの補助金に支えられているという厳しい現実が迫ってくる。
 集落営農をつくった後の経営支援こそが重要だとの証左だ。政府がここにも目を向けない限り、農家は本気になれないだろう。
日本農業新聞書評欄「経営支援の重要さを示す」(2006年10月9日) その他の書評 農業共済新聞(2006年10月11日) 赤旗「読書」(2006年10月29日)

中国野菜企業の輸出戦略
坂爪浩史・朴紅・坂下明彦編著
 残留農薬の新基準、ポジティブリスト制度の影響を受け、中国産野菜の対日地輸出は減る傾向だ。しかし、対日輸出が再度増える可能性も否定できない。
 2002年のホウレンソウ残留農薬事件で、いったん減った対日輸出が、最近再び拡大した経験があるからだ。
 本書は、中国の野菜輸出企業がどのように「事件」の衝撃を受け止め、克服したかを詳しくまとめた。現地に詳しい中国系学者らが加わり、原料生産、集荷体制を核とした品質管理システムの構築について、さまざまなデータを持ち、「事件」前の大量・低価格戦略と、「事件」後の品質戦略を。分かりやすく説明している。
 特に、中国農村組合の形成と、輸出拡大という視点から、野菜企業の輸出戦略を取り上げたのが斬新だ。産地の農家と農家は、どのように結ばれ、集中出荷するのか。輸出企業はまた、産地とどうやって量や価格、品質を確保するのかなどをさまざまなケースを挙げ、具体的な事例を分析してる。
 現在、日本の輸入企業は、中国産の取り扱いを控えている。とりわけ、第三国への調達先変更や、代替品目の取り扱いなど、さまざまな工夫を始めるだろう。しかし、中国産が「安定的、大量に多品目を周年供給でき、輸送距離も短い」利点を生かし、逆にポジティブリスト制度の基準を満たしていることを強みにして、日本市場に再度、上陸する場合、日本産地は対策を構えているだろうか。
 中国野菜企業の輸出戦略の素顔に触れた本書。やや難解な部分があるが、一読の価値はある。
日本農業新聞書評欄 『「残留農薬」克服詳しく』(2006年7月3日)

宇佐美繁著作集(全五巻) 宇佐美繁著作集編集委員会偏
著者は2003年2月9日に大腸がんで亡くなった。40年にわたる研究生活は、常に時代の課題に対して真正面から取り組み、精力的な調査と精緻(せいち)な理論で、農業経済学界の最前線にいた。著作集は、戦後の農業構造問題を中心にした膨大な論文、著作などを取捨選択してまとめた。
編集委員会によると「20世紀後半におけるわが国の農業経済学の一つの輝かしい到達点であり、21世紀の新たな展開への魅力的な序章である」という。ややオーバーな表現かもしれないが、著者が、戦後の日本経済の発展と農業問題に対して、鋭い目を持ち、独自の理論構築にまい進していたことは確かである。
新進気鋭の学者として登場した当時の論文「稲作上農層の性格」は、独特な視点で当時の学説に立ち向かう土台となったものだ。情熱あふれ、今の若い研究者も学ぶべき点が多い。さらに今日の農業については、センサスなどの分析を通じて、日本農業の急速な衰退と再編課程を生じている諸現象を「世紀末構造変動」と位置付ける。農家数、耕地面積の減少が全地域、全部門に及んでいる点、農業経営に「資本と賃労働」の問題が生じている点などを挙げる。
偶然だが、絶筆となったにほ日本農業新聞の視点(2003年1月13日付)である。「環境を守る農業形成」(X巻の序)と題して次のように書いている。「日本の国土に食料生産を通じて刻まれる環境・景観、それを実践する人々は輸入によって代替されることはない」。農産物貿易の自由化が進む中で、この言葉の意味をあらためてかみしめたい。
日本農業新聞書評欄 『「農業問題」に切り込む』(2006年4月17日

農業の多面的機能を巡る国際交渉 作山巧著 A5判 164ページ 定価2,500円+税

世界貿易機関(WTO)農業交渉で登場する「農業の多面的な機能」と「非貿易的関心事項」の違いをよどみなく説明できる人は、本書を読まなくてもよい。しかし、新聞や雑誌、テレビで報道される断片的な国際農業交渉の情報では「物足りない」と考える人には役立ちそうだ。「難解ではない」と言えばうそになる。だが、これまでの類書に比べれば、断トツで読みやすい。交渉の場で農業の多面的機能フレンズ国としてスクラムを組む日本と欧州。お互いにエールを交換してはいるものの、厳密な意味では比較すると、さまざまな部分で違いがある。フレンズ(友人)であっても、意見の違いは当たり前だ。その意見を、1980年代の文章までさかのぼって検証した。(略)
日本農業新聞(2006年5月15日)

食料の海外依存と環境負荷と循環農業 鈴木宣弘著 A5判 76ページ 定価1,300円+税
農業は環境に対してプラスかマイナスか?本書は、わが国の食料に関連する窒素収支と硝酸態窒素蓄積の現状と問題点を指摘し、食料貿易自由化と窒素収支の悪化を計算して数値で示した。カロリーベース60%に達している食料の海外依存がさらに高まれあば、窒素収支はさらに悪化すると指摘する。環境負荷に配慮した自由貿易協定(FTA)の制度設計を検討し、環境負荷に小さな循環型農業を推進するための方策と課題について考える。
日本農業新聞(2005年12月19日)  その他『農業と経済』 (2006年7月号)

北関東農業の構造 安藤光義著 A5判408ページ 定価4,500円+税
北関東の農業構造の特徴と最新動向を、多くの資料を基にまとめた。対象は10地区100戸以上の農家で、中でも市町村センサス分析から畑作地帯を抱える栃木県の特徴を明らかにした。また、埼玉県では担い手不足地帯の水田農業維持について課題を指摘する。
日本農業新聞(2005年11月14日)

日本国憲法と農業政策 近代農政の総点検  桜井豊著 A5判 120頁 定価1,500円+税
 当時、酪農学園大学教授の著者が、『農村文化運動』第58号(農文協、1975年6月号)に掲載した大論文を再掲したもの。著者の米寿記念『農業生産力論・水田酪農論』(筑波書房)の別冊として刊行された。「日本経済と農業政策のあり方」というユニークな視点から30年も前に憲法問題を論じている。今、浮上している憲法改正論議に一石を投じた先駆的なもんであり、鋭い指摘には学ぶところが多い。タイムリーな一冊。
日本農業新聞(2005年11月7日)

「戦後農政の総決算」の構図 新基本計画批判  田代洋一著 四六判 240頁 定価2,000円+税
(前文略)
 担い手限定政策では政府の言う望ましい農業構造は実現しない、と新基本計画に真っ向から反対するのが、田代洋一著。
 本書は、主張する。政策がなすべきことは、公正な競争条件を維持し、競争からこぼれる者へのセーフティネットを用意することである。本来の農業の担い手は大規模経営だけでなく、様々な経営主体が担い手であって、その全てを対象としなければ政府が向上を目指す食料自給率の目標も達成されない。
 また、担い手に用意される支払額は現状を維持するに過ぎず、増産意欲や規模拡大を促するもんではなく、担い手政策は「育成策なき選別政策」に過ぎない、と断じる。
 本書が言うように、ある産業を誰かが担うかは市場が決めるとであり、またそれが固定的である必要もない。ただし、全農家を担い手として国税で保護する政策は国民は納得しない。
日本経済新聞 『今を読み解く「担い手限定で農業再生?」』(20006年4月23日)

FTAと食料 評価の論理と分析枠組  鈴木宣弘編 A5判 246頁 定価2,500円+税
 WTOの枠組みでの農業交渉が難航し、それに代わって、二国間あるいわ多国籍間の自由貿易協定(FTA)が模索されている。最近のFTAは、物品の貿易のみならず、人、サービス、資本等の自由な国際的移動をも含む、包括的な経済連携協定(EPA)に変化し、わが国も、メキシコ、タイ、韓国など政府間交渉をおこなってきたているが、その過程で、EPAの是非について激しい論争が戦わされ、多くの問題点が指摘されてきた。
 本書の目的は、EPAのうち、特にFTAに焦点を当て、それをめぐる諸問題、論争を包括的に整理し、これらを分析するための方法論とその応用例を解説することによって、この問題についての論議を深めるための材料を提供することにある。(中略)
 いずれの章でも、経済学的な分析方法がもちいられているにもかかわらず、読者にわかりやすい解説がなされており、学生はもとより、政策担当者、一般読者も、十分理解できる内容となっている。
 このように、本書は、われわれが、FTAの問題を考える際の論点を平易に、かつ分析的に解説したものであり、ぜひ、一読をお勧めしたい好著である。
農業と経済(2005年12月号)  その他農業共済新聞(2005年10月2週号)

野菜の価格形成分析 菊地哲夫著 A5判 156頁 定価3,000円+税
農業と経済(2006年2月号)

北海道酪農の生活問題  河合知子著 A5判  164頁 定価2,500円+税
 北海道酪農家、とくに家事だけでなく朝早くから遅くまで牛舎で働く女性たちが、どのような生産活動に従事しているかを明らかにした研究論文。酪農学園大への博士学位請求論文をまとめられている。
北海道新聞(2005年8月21日)新刊案内


21世紀の農業戦略 松山良三著 四六判 164頁 定価2,500円+税
(略)本書は、日本の農業の歴史を踏まえて、21世紀の日本の農業のあるべき姿を描いてみたい、描くべきであると考えて、重要な課題に絞って、今後の方向を論じたものである。
本書はの構成は、第1章 戦後農政の変遷に続き、第2章から第6章まで食料自給の方向、農地の確保、WTOとFTAへの対応、担い手の確保、環境保全型農業の5課題を取り上げている。
(略)本年3月に食料・農業・農村基本計画が、5年ぶりに改訂された。著者が取り上げた5課題は、すべてこの新しい基本計画の論点でもあった。
著者は、長らく農業技術行政に携わった、また環境行政、国際協力、農業改良普及、農村青少年教育等の分野で活躍された。本書はその豊富な経験を生かして、かつ、食を支えてきた日本の農業の歴史を基礎として、21世紀の日本農業への具体的な提案をしているといえるのではなかろうか。
多くの方々に、前書『日本の農業史』(新風社)とともに本書をお読みいただくことをお勧めする。
技術と普及(2005/6月号) その他 農林水産技術研究ジャーナル(2005年/7月号)果術園芸(2005年/7月号) 農林水産省図書資料月報Web(2005/7月

WTO交渉と日本の農政 問われる食の安全・安心 中原准一著 A5判 180頁 定価2,200円+税
EUの共通農業政策(CAP)改革は、域内穀物価格支持水準の引下げ、輸出補助金の削減等を内容とする大幅なもので、このEUのCAP改革の根幹は、92年末ブレアハウス合意に盛り込まれた。ブレアハウス合意は、難航をきわめてウルグアイ・ラウンド妥結に向けてのターニングポイントとなった。
EUの農政転換は、農業保護のあり方を生産刺激的な価格支持からデカップリング政策(直接所得補償が典型)へと切り替わるものであった。EUのCAP改革は、域内加盟国の農政を規律していく「内輪の倫理」であるが、EUは、欧米間で熾烈な対立の元になっている輸出補助金の削減幅で米国と合意し、「それをウルグアイ・ラウンド農業協定の基本原則のひとつ「昇格」させたのである。
今次WTO農業交渉で、日本政府「多様な農業の共存」を打つ出しているが、この提案は、農産物輸出国主導でWTO交渉を推移させることに歯止めをかける事を意図している。
本書は、WTO農業交渉の争点を取り上げ、日本の交渉のあり方や、「外圧」に耐え得る農業政策の課題等に焦点をあてて述べるもの
政府刊行物新聞(2005/6/20) その他農林水産省図書資料月報Web(2005/7月)

日本食文化人物事典 西東秋男編 A5判 384頁 定価5,000円+税
わが国の食生活文化にかかわった先覚者や、食に貢献した人物を収めた事典ができた。これまで『日本食生活年表』などを手掛けた編者が、人物の足跡やその背景などを50音順に引きやすくまとめている。取り上げた人物は818人。食に携わる人や食に関心のある人たちにとって、便利な1冊となるに違いない。活動分野別の索引は農産物や加工品などから選ぶことができ、とても使いやすい。
日本農業新聞(2005年6月27日)  その他 農業共済新聞(2005年6月)

猫めぐり 日本列島 中田謹介著 A5判 174判 228頁  定価2,200円+税
 全国に点在するネコにまつわるスポットを紹介する『猫めぐり日本列島』が筑波書房から出版された、江戸時代の農業書の復刊を手がける編集者だった著者が養蚕とネコのかかわりに興味を持ったのをきっかけに、お参りすると行方不明のネコが戻ってくる伝わる通称「猫返し神社」や、生涯500匹の猫を飼ったという大佛次郎の記念館内のネコの像などを紹介。
毎日新聞(2005/5/22)  その他 日本農業新聞(2005.6.21) 猫びより(2005年7月号

転換期の米政策 北出俊昭著 A5判 228頁  定価3,000円+税
 わが国の農業政策展開の中心は、少なくとも1990年代なかごろまでは、「米政策」であった。多くの研究者、実務家が、米あるいは米穀政策を論じた。食糧管理制度、米価、米流通、生産調整(減反)、自主流通米、自由米など「米」問題では、広範多岐にわたる論議が展開されてきた。
かつて全中で組織運動のフロントにあった筆者が、研究者の道を歩みながら一貫して米・食管問題に取り組んできた。先に、『日本の農政50年』を著し戦後の食料政策の検証を行ったが、90年代以降の米政策に視点を絞り、生産と流通ともに未曾有の転換期にある米政策の現状を歴史的経過も含めて分析し、課題を提起したのが本書である。(略)
日本農業新聞(2005/4/11)   その他 農業協同組合新聞(2004/4) 月刊経済(2005/7月号) 農林水産省図書資料月報Web(2005/6月)


暮らしのなかの食と農30
緊迫アジアの米-相次ぐ輸出規制 山田優 著 A5判 80ページ  定価 750円+税 
 2004年1月にミャンマーで起こった突然の6か月間米禁輸、その波を受けた形で起こった世界第2の米輸出国ベトナムの新規米輸出契約規制、中国での米価高騰と密輸入増加、インドでの食料安全保障を理由にした輸出削減や水不足……様々な問題を抱えるアジアの米。
 本書は、アジア主要国の人口増や都市化などによる米需給のひっ迫に対し、動き始めたアジアの米輸出国の事情や米作り及び流通の現状から、世界全体の米の生産・消費・貿易の概況をまとめて紹介し、世界市場での取り扱いに際し、他の穀物とは少し異なる米の特徴に配慮が必要だということを伝えています。(IK)
農林水産省図書資料月報Web(2005/3月)

暮らしのなかの食と農29
農協の経営問題と改革方向 青柳斉 著 A5判 80ページ  定価 750円+税 
「刷新」から「改革」へ、そして「改革の断行」と農協全国大会が開催されるたびに次第にそのトーンに強さを増す農協経営のあり方。バブル経済の破たん以降、農協が抱えてきた課題えお直面している問題について分析するブックレット。
合併による経営改革について規模別、立地別に分析し、経営不振の打開に必要な視点を丁寧に解説する。
さらに各地で実践されているグリーンセンターをはじめつする地域に根差し、職員と一丸になって取り組んだ事業改革の特徴と成功事例を紹介しながら、実践的に課題を提起する。
日本農業新聞(2005/2/20)

モノづくりの管理監督者のための
モノづくりの仕組みとマネジメント手法 辻本攻 著 A5判 244ページ  定価 3,500円+税
モノづくりにかかわる本は増えているが、その多くは生産管理の技法であったり改善の手法であったりと、モノづくりの一部分にスポットを当てたものが多い。
 本書はモノづくりの全容を提示すると唱える。仕事、モノづくりの基礎から説き起こし、その上で改善の考え方・取り組み方を示す。改善はホームランよりヒットを数多くの言葉は示唆に富む。さらに、その上層にあるモノづくりマネジメント、仕組み、事業生産革新への展開、工場づくり、経営にまで論は及ぶ。まさにモノづくりの全容を示してるわけだが、著者の経歴をみて納得。住友電気工業の生産技術を振り出しに製作所長と生産現場でステップアップし、サンレー冷熱社長に就いた。住友電工が確立した生産ラインカンパニー制などにも触れ、実践に基づく厚みのある内容となっている。
日刊工業新聞(2004/11/08) その他 熱産業新聞新刊紹介掲載(2004/11/25)

21世紀の農業・農村シリーズ第1巻〜第4巻
1.再編下の世界農業市場 2.再編下の家族農業経営と農協 
3.日本農業の主体形成 4.日本農村の主体形成
前衛(2004.9月号) その他経済(2004年10月)

茶のサイエンス 武田善行編著 A5判 208頁 定価(2,500円+税) 
 健康機能性飲料水としての茶への関心が高まり、お茶の持つさまざま味や香りに興味を持つ人が増えてきた。最近は、消臭、抗菌、芳香剤、茶染めなど食材としての利用以外にも使われている。知っているようで、知らなかったお茶のことを、研究者らが一般の読者を対象に、育種から喫茶までの茶業にかかわる全般について、分かりやすく紹介した。
 これまでお茶に関する本は、多く出版されているが、いづれも興味本位で科学的な根拠が薄かったり、専門過ぎて読むのに苦労した読者もいるだろう。
 本書は、育種、栽培、加工、喫茶の4つの項目に分け、品種の普及、茶樹の生理、製茶機械の構造、茶の品質の分析方法などを最新のデータと話題を豊富に加え、楽しく解き明かす。
 毎日、何気なく飲んでいるお茶でも、多くの疑問が生じてくる。
 緑茶と紅茶は同じ木から出来る。きゅうすで入れたお茶とペットボトルの茶飲料との違い、だれでもできる茶の木の育て方、玉露とせん茶の違いは製造方法よりも栽培法など、読み進むうちに、不思議と興味がわいてくる。
 薄く切ったゴボウを使って、お茶の苦渋味に関係するカテキン類の濃度を測定する方法があるのには驚かされた。
全国農業新聞(2004.7.23)  その他 日本農業新聞(2004.7.4) 農業共済新聞(2004.5.19) 週刊読書人(2004.8.13) 農林水産省図書資料月報Web(2004/8月)

暮らしのなかの食と農19
有機農業と米づくり−自然の循環を活かした有機稲作- 稲葉光國 著 A5判 80ページ  定価 750円+税 
暮らしのなかの食と農20
有機農業と野菜づくり                   佐倉朗夫 著 A5判 80ページ  定価 750円+税 
暮らしのなかの食と農21
有機農業と畜産                       大山利男 著 A5判 64ページ  定価 750円+税 
 (略)米、野菜、畜産という食物の基幹をなす分野を取り上げている。著者は米は稲葉光國、野菜は佐倉朗夫、畜産は大山利男と、いずれも有機農業と環境問題についてその道の識者が問題の核心と展望に迫る。
 まず、『有機農業と米づくり』。農薬がなければ安定した収穫は確保できないということから、科学肥料や農薬を大量に使わされてきた技術的問題は何か。また、環境無視した大規模な基盤整備は土壌微生物へ悪影響を及ぼした。それに連なる水田内外の環境は破壊され、間接的に我々にも大きな負の影響をもたらした。こうした技術のあり方などに、近代稲作技術はどこをどう変えれば21世紀の日本の稲作が世界に冠たる環境共生型・循環型農業の先駆として再生可能なのか、思い切った政策的課題を提起している。
 次に、『有機農業と野菜づくり』。70年代の野菜生産は近代農法の下、主要野菜を確保するための野菜生産出荷安定法や、その野菜を都市部へ集めるための卸売市場法の施行など大量生産を至上の政策目標としてきた。農業技術の方向は科学化、機械化、施設化による大規模専作化に進み、野菜産地は少品目多量生産に突き進んだ時代でである。この変貌は無理をした産業化であり、そこには、畑地を疲弊化し人間の健康・環境に悪影響を及ぼした。こうした反省に立って作物の本来持っている生命力を引き出すことにより健康な野菜を栽培し、それが人間の健康にづながると説いている。
 さらに、『有機農業と畜産』。近年、世界を揺るがしたBSEや口蹄疫、鳥インフルエンザなど家畜の健康や畜産物の安全性を巡る問題が相次いで発生し、我々の食生活はもちろん、健康までも脅かしている。近年の家畜の飼養は、大規模化による効率性の追求に明け暮れてきたが、本当にそれでよいのか、「食」と「農」のあり方全体が問われているのではないかと問題提起している。ます、有機農業における畜産とな何かを追求し、日本国内における有機畜産の展開の可能性に言及している。
 「有機農業」といわれて久しいが、伊豆根の著書も問題の真髄を探り、今後の展望を見据えている。
農林水産省広報 AFF(あふ) (2004/10月号)

21世紀の農業・農村 第1巻
再編下の世界農業市場 
村田武 編 A5判 208頁 定価2,800円+税 
農業と経済(2004年9月号)
本書の目的は、20世紀末に成立したWTO自由貿易体制のもとで、急激な再編を迫られている農業市場にあって、その再編をリードする多国籍アグリビジネスやアメリカの農産物貿易戦略を考察するとともに、それに対応し、また対抗する国際社会の新しい動きをとらえることにおかれている。(中略)今日、世界的に深刻化する食料・農業・環境問題の背景を把握し、問題解決に向けた展望と課題を理解するのに役立つ好著である。
農業と経済(2004年9月号)より

21世紀の農業・農村 第2巻
再編下の家族農業経営と農協 −先進輸出国とアジア− 村田武 編 A5判 256頁 定価3,000円+税 
アグリビジネス多国籍企業が展開するグローバリゼーションのもとで、危機に追い込まれている家族農業経営とそれを補完する農協の存在条件の解明におかれている。(略)本書は、アメリカ、オセアニア、EU、アジアなどが、WTO体制下での自由貿易化の動きの中で示す家族農業経営と農協組織の新たな再編過程を把握できる好著である。
農業と経済(2004年10月号)

21世紀の農業・農村 第3巻
日本農業の主体形成
 田代洋一 編 A5判 448頁 定価4,500円+税

本書は、今日の農業・農政をめぐる状況のなかでは、日本の食料や農業、農村を守っていくには、もはや「主体形成しかない」のではないか、という思いからスタートしている。(中略)日本農業の地域性が論じられ(第1章)つづいて第2章(北海道)、第3章(東日本)、第4章(西日本)の3つの章で、11人の研究者によって17の事例2わたる膨大な実証分析と考察が加えられている。困難な課題に挑戦的に取り組んでいたただいたことにまず敬意を表さななければなならいが、何よりも、グローバリゼーション時代の「法則化摘認識」失効のもとで、いかなる展望を持って日本農業、地域農業について論ずるかという点において大いに考えさせられる著作として、多くの関係者に広く購読をお進めしたい。
農業と経済(2004年9月号) その他AFF(あふ)(2004年8月号)

21世紀の農業・農村 第4巻
日本農村の主体形成
 田代洋一 編 A5判 368頁 定価4,000円+税 
 本書は、21世紀の農業・農村シリーズ第3巻「日本農業の主体形成」につづく第4巻である。第3巻は農業の担い手に焦点をあて、グローバリゼーションの下、誰が生産を守り、変革の主体たり得るかを、北海道から沖縄まで追い求めた。第4巻では地域(山村と都市)の可能性とその具体化、本源的な変革の主体である農村女性の働き、再生の方途が模索されている協同の論理を追求した。第3章から読みたい。京都府美山町だ。自然と歴史と、そこで培われた人の心が、年間60万人もの人をひきつけている。この町の「民力」を、元京都府農業会議の渡辺信夫氏が克明に綴った。都市では人と自然(神戸、横浜)、農家と消費者(日野市、相模原市)との共生という、根源的課題がとりあげられる。女性では吉田町、宇和島市、野辺地町と女性起業が登場する。家・生産・起業・地域・起爆力は女性だ。
 協同では、野辺地町農協、松阪農協と石見町の福祉ネットワークが記される。もっとも困難な課題への挑戦だ。
 アジアモンスーンの風土、奇形的に発展した資本主義、未熟な民主主義(統制あってルールなし)のなかで、人々はどのような形をつくりつつあるか。
日本農業新聞(2004.5.28)
 地域協同の理論を追及

青果物流通とマーケティング活動 斎藤義一・三原成彬共著 A5判 122頁  定価(2000円+税)

 圧倒的な力を背景にスーパーマーケットがリードする卸売市場。買い手優位の現状で、産地のマーケティング活動はどうあるべきかを、青果取引の裏表を知り尽くしている2人の著者が提案する。
 市場は大きく様変わりしており、以前の常識が通用しない。誤った固定観念で対応することの危険性を指摘する。
 マーケティング活動に必要なのは情報活動であるとして、その上で、品目別、市場特性などを考慮して提案するという具体的なマーケティングがとても参考になる。
日本農業新聞(2004.6.20) その他 農業共済新聞(2004.4.2週号) 食品産業しんぶん(2004.3.22) 農業と経済(2004年9月号) 農林水産省図書資料月報Web(2004/5月)

暮らしのなかの食と農シリーズ21
有機農業と畜産
 大山利男著 A5判 64頁 定価(750円+税)
有機栽培された飼料を与え、環境に配慮しながら家畜を健康的に育てる畜産「有機畜産」。日本農林規格(JAS)の制定も近い。生産者や消費者、流通業者の関心も高まっているが、著者は「期待と現実の間」にある「いくつかのすれ違いや矛盾点」を心配する。国際基準である、コーデックス有機畜産ガイドラインを基に「有機畜産とは何か」を解説。欧米での生産・加工・流通・販売事例について、技術的ポイントなどをまとめた。
 国内では、里山などのシバ草地で乳牛を1年中放牧する「山地(やまち)酪農」を紹介。「国内でのもっとも『土地ど結びついた畜産』の1つ」と評価する。併せて、国内の有機畜産の可能性や方向性、課題などを分かりやすく論じている。
日本農業新聞(2004.6.13)  その他 全国農業新聞(2004.8.27)

農村金融論
 日暮賢司著 A5判 256頁 定価(4,800円+税)
 すでにある農業金融論(農業生産金融論)から一歩脱した農村金融論として、体系化された書籍が初めて出版された。
 この農村金融論への問題意識は、農村からみた農業の役割が、農村資源の有効利用や環境保全などを通して持続的農業形成へと大きくシフトしていること。また、農家金融、農協金融、農業政策金融が、農業生産資源だけでなく、農村環境整備、観光農業施設、新規就業者向け融資を対象としていること。さらに、農産物の流通・加工分野を対象とした融資などと貸し付対象分野が拡大し、多様化した変化に足場を置いている。
 本書は、戦後における日本経済発展の中で、農村金融特性の連続性と変化とを金融経済的視点から解明するという立場から、高度成長期、安定成長期、そして平成不況期における理論的、実証的分析に多くの紙幅を割ている。
 その中から、農村に存在する潤沢な資金を農村の総合的な発展、すなわち環境保全を含めた地域循環型経済の視点からの農業、生活、農外事業へ、さらに特定非営利活動法人(NPO法人)や非営利法人による特産物形成、農村福祉、エコミューウジアムなどの施設投資への対応を提言している。
 この分野は資本の限界効率は低くても、社会的のニーズの高い分野であり、これから含む新しい農村金融の再編成が必要であると説いている。
 これからの農業・農村の新しい道づくりは決して容易ではない。農業ビジョンづくりや担い手問題とともに、地域の自立化、個性化を支える付加価値化や有利販売戦略の展開など、多様な要素が絡み合っている。本書の示唆は多大だ。労作である。
日本農業新聞(2004.1.26) その他 農業と経済

少子・高齢化時代の人口と食糧問題 人口・食糧問題周辺の散歩道  伊東健三著 A5判 192頁
定価(2,000円+税)

世界の人口は現在の63億人からに達するという。それを賄う食料は大丈夫なのか、、先進国を襲う少子・高齢化による社会のひずみの解決策はあるのか。世界各国を歩きまわった著者が、現場感覚駆使して伝える。迷走する中国一人っ子政策、人口が増え続けるというバランスの悪さと背景を分析する。そして先進国で少子・高齢化が、年金・保険問題に深刻な影響を及ぼしている現実など
も報告する。
日本農業新聞(2004.1.5) 
その他 食品産業しんぶん(2004.2.12) 赤旗(20043.12.22). 農林統計調査(2004.6月号) 


暮らしのなかの食と農16
WTOと日本農業                       田代洋一 著 A5判 96ページ  定価 750円+税 
農林水産省図書資料月報Web(2004/4月)
暮らしのなかの食と農17
WTOとカナダ農業                      松原豊彦 著 A5判 64ページ  定価 750円+税 
農林水産省図書資料月報Web(2004/4月)
暮らしのなかの食と農19
FTAとタイ農業・農村                    山本博史 著 A5判 64ページ  定価 750円+税 

本シリーズ第6回配本で、前回に引き続きWTO・FTAとわが国及び関係各国の農業の関係等を明らかにしています。
 「WTOと日本農業」では、わたしたちの生活と密接な関係にある日本農業のWTO体制下での現状と課題を、「WTOとカナダ農業」では、世界第2位の輸出大国の農業・農政の最近の変貌をWTO・FTAとの係わりにおいて述べ、「FTAとタイ農業・農村」では、タイ農業・農村の変遷と現状そして日・タイの結びつき及び同二国間協定等について、それぞれわかりやすく簡潔に論述しています。(TI)
農林水産省図書資料月報Web(2004/4月) 月刊経済(2004年4月号)日本農業新聞(2004.2.16)

コーヒー危機  作られる貧困 オックスファム・インターナショナル著・日本フェアトレード委員会訳
A5判 104頁 定価(1,000円+税)

 世界のどこでも街角のカフェや家庭で、ゆったりとコーヒを飲みながら談笑する風景がよく見られる、日本人もコーヒーが好きで、その消費量は米国、ドイツに次いで世界第3位といわれる。
 だが、コーヒー党を自認する人たちがはたしてコーヒー産業の実態をDれほど知っているだろうか。その原料であるコーヒー豆の生産現場が、今、深刻な危機にさらされている。
 国際的な飢餓救済組織である「オックスファム・インターナショナル」が、、綿密な調査を基に危機的状況を明らかにした。このほど、日本ファアトレード委員会が翻訳したのが衝撃の本書である。
 コーヒー豆は、赤道を挟んだコーヒーベルトといわれる熱帯地域で生産され、中南米、アフリカ、そして東南アジアの途上国が主産地である。コーヒー生産が経済を支えている国は少なくない。ところが、現実はコーヒー豆の国際価格が長期にわたって低迷し、生産農家は貧困にあえいでいる。本書は惨状の報告である。
 英国のスーパーで、1`26ドル40セントで売られているインスタントコーヒーの場合、原産地ウガンダの生産者手取価格は1`わずか14セントと、めちゃくちゃに安い。生産者が「破産だ」と悲鳴を上げるのは当然。希望さえ失っている。
 一方で、大手焙煎(ばいせん)企業や流通業者は、技術革新やブレンド加工により巨額な利益を上げている。
 オックスファムは、この矛盾を克服するため救済計画を提案し、生産者のために適正な価格を保証するフェアトレード運動を展開する。本書は、先進国のコーヒー愛飲者に生産農家の窮状を救うために何かをすべきかを切実に訴える。
日本農業新聞(2003.12.1) その他 赤旗(2003.12.1) 文化連情報(4月号) 前衛(5月号)

農政「改革」の構図 田代洋一著 四六判 240頁 定価(2,000円+税)
 「戦後農政の総決算」が言われて久しいが、今や農業は正真正銘の転機にさしかかった。グローバルスタンダードの名の農政改革、その真の狙いは「アメリカ・スタンダード」であると見破る。農政「改革」として、推し進められているグローバリズムの流れと新基本法との関係の解明を通じて「改革」の全体構造に迫る。
農業国際化は確かに貿易取引額の増加をもたらしたが、それは国際的な格差拡大、食の「マクドナル化」、安全性の崩壊をもたらしたと指摘。さらなる国際かを進める世界貿易機関(WTO)体制と自由貿易協定(FTA)、さたにはJA改革の要求が何をもたらすか、農政「あるべき姿」を鋭く分析する。
日本農業新聞(2003.9.1)(2003.10.27) その他 赤旗(2003.12.1) 農業共済新聞(2003.12.10) 農業と経済(2月号)


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